

人口普及率3割に達し、住基カードが住民サービス向上と業務効率化に大きく貢献
宮崎市は九州南東部の太平洋岸に位置する宮崎県の県都で、日向神話の舞台として多くの神話伝承地を抱えるとともに、温暖な気候に恵まれた「太陽と緑」に象徴される国際観光リゾート都市として、年間約600万人の観光客が訪れています。
宮崎県宮崎市位置図
平成10年4月1日には中核市に移行し、また、平成18年1月1日には、近隣の佐土原町、田野町、高岡町と合併、人口369,325人(平成19年12月1日現在)、面積596.80km2の都市として、新たなスタートを切っています。宮崎県の人口は約114万人で、その3割以上が宮崎市に集中していることになります。宮崎市では、より一層市民に密着した、九州の中核都市にふさわしい特色あるまちづくりを進めるため、『健康福祉都市』『ボランティア都市』『教育創造都市』『環境都市』『景観都市』『子育てサポート都市』の6つで九州のトップを目指す「九州一のまちづくり事業」を展開しています。
宮崎市役所
(1)行政系のカードは1枚〜住基カードを利用した行政サービス
宮崎市では、従来からカードを使って行政サービスの効率化を図る取り組みを進めていました。しかし、印鑑登録証や敬老パスなど行政サービスごとに専用のカードが存在し、住民は行政サービスを受けるために複数枚のカードを所持しなければならない状況が続いていました。市では、このような複数枚のカードを1枚のカードに統合することにより、住民サービスの向上につなげたいと考え、多目的に利用できる住基カードに着目しました。
宮崎市では、平成13年に総務省の委託事業「住基ネットワークシステム影響度調査」を実施後、住基カードの導入に向けて、同年5月に「ICカード多目的利用検討委員会」を立ち上げて、カードの利用に関して検討を重ねました。その検討において、市民課が提案した証明書交付サービス等により、住民の事務手続きの簡素化や行政事務の効率化が図れるうえ、住民自身がカードの利便性を実感できると判断し、導入を決定しました。平成14年1月には総務省とセンターの「ICカード標準システムの開発及び実証実験事業」に参加して住基カード発行の準備を進めるとともに、行政サービスを受けるためのカードの統合化をより効果的に進めるため、住基カードを印鑑登録証として利用することにしました。
一方、住基カードの導入に伴い、住基カードを取得できない外国人や住基カードを希望しない住民への対応が課題として浮上してきました。そのため、そういった住民にもサービスを提供できるよう、住基カードと同仕様のICカードを「宮崎市民カード」(以下、「市民カード」といいます。)として交付することにしました。
そして、平成15年4月に、情報政策課、契約課、市民課で構成される「ICカードシステム選定委員会」を発足させ、証明書交付サービス等の実施に必要なシステムを検討し、導入しました。
(2)手数料を無料にして印鑑登録証の住基カードへの切替え推進
住基カード及び市民カードを印鑑登録証とするにあたり、既存の印鑑登録証(プラスチックカード)の扱いが問題となりました。そこで、住民の混乱防止や利便性の向上、また、発行者である市としてもカードの二重管理に伴う事務の煩雑化を避けるため、条例等を改正し、平成21年4月以降は、既存の印鑑登録証を使用できないことにしました。
宮崎市では、平成15年8月の住基ネットの二次稼動にあわせ、既存の印鑑登録証からの住基カードまたは市民カードへの切替えを実施しています。切替えは、既存の印鑑登録証が利用できる平成21年3月までとし、それまでに発行していた印鑑登録証は約18万5,000枚ありましたが、既存カードの所有者に対しては、カードの切替えに関する案内文書を送付し、早期の切替えを促しています。また、住基カードの発行には、通常1枚500円の手数料がかかりますが、平成21年3月までに従来の印鑑登録証から住基カードまたは市民カードへ切替えを行う場合には、手数料を無料として、その普及に努めています。
(3)住基カード交付のための専用カウンター設置
多くの自治体では、住基カードの交付が他の窓口と共用であったり、どこで交付を受けたらよいか分からないことが多いなかで、宮崎市では、住基カード交付用の窓口が独立しており、申請のための窓口を2つ、交付のための窓口を2つ設置して対応しています。さらに、住基カードを利用してどのようなサービスを受けることができるのかの説明を受けたり、落ち着いて手続きができるようにするため、ローカウンターを導入し、多くの人が安心して住基カードの交付を受けることのできる環境を整えています。また、ロビーの一角には、カードの交付を受けるのに必要な写真を無料で撮影することのできるコーナーを設けて、住基カード交付のための手続きがスムーズに進むよう配慮しています。
市民カードの発行は本庁でのみ取り扱っていますが、住基カードについては、本庁のほか、6ヶ所の地域センター、3ヶ所の総合支所及び2ヶ所の出張所で発行可能となっています。
本庁の住基カード交付窓口
(4)住基カードの人口普及率3割を超える
このような取り組みの結果、平成 19年3月末における印鑑登録者数は228,466人で、市民の約60%が登録していますが、このうち約47%にあたる109,419人が住基カードまたは市民カードを所有しています。その後、住基カード等の普及は着実に進んでおり、1日あたり100枚以上のカード発行が続いています。その結果、平成19年10月末には住基カードの所有者は120,812人で、人口普及率は32.6%となっています。また、市民カードも6,918人が所有し、住基カードと市民カードの所有者の合計は127,730人で、人口普及率は約34.5%にのぼっています。
住基カード等の交付枚数の累計と人口普及率
※19年度は10月末現在
(5)自動交付機の増設により住民の利便性向上
宮崎市では、印鑑登録証としての住基カード及び市民カードの導入にあわせて自動交付機を設置し、住民票の写し、住民票記載事項証明書、印鑑登録証明書の交付をしています。平成15年度に本庁に1台設置し、平成16年度には市内に6つある地域センター(支所)のうちの2ヶ所に、平成18年度には総合支所(旧町)3ヶ所に設置するなど、順次自動交付機を増設し、利用者の待ち時間の短縮や利便性の向上に努めています。さらに平成19年12月には本庁に1台増設し、窓口の混雑解消や職員の事務負担の軽減を図っています。
自動交付機を利用した証明書のうち、住基カードを利用した住民票の写しと印鑑登録証明書の交付割合は、平成18年度においては全交付枚数の12.6%を占め、特に自動交付機の設置されている本庁、地域センター及び総合支所における印鑑登録証明書の自動交付機による交付割合は36.8%にのぼり、自動交付機の利用が着実に定着してきているといえます。
また、自動交付機のほか、住基カードまたは市民カードを利用して、窓口での各種証明書の交付も可能です。窓口で交付を受ける際には、窓口に設置された専用の端末にカードを挿入し、暗証番号を入力した後、職員に必要な証明書の種類を伝えます。証明書は窓口の中のプリンタから出力され、その証明に必要な手数料を支払うことで、交付されます。交付請求書には、印鑑登録証明書は氏名のみ、住民票の写し等は住所、氏名及び生年月日の記入を求めています。
本庁に設置されている自動交付機
(6)印鑑登録証の住基カードへの切替えが普及に貢献
宮崎市において住基カードの普及が進んでいるのは、住基カードを印鑑登録証としたことに加え、平成21年4月以降は従来のカードを使用できないものとして、その間の印鑑登録証の住基カード等への切替え手数料を無料にしたことが大きいといえます。
さらに、住基カードの導入に際して、印鑑登録証の住基カード等への切替えを案内する文書を既存の印鑑登録証の所有者全員に送付するとともに、現在も印鑑登録証の切替えが済んでいない所有者を対象に随時切替え案内を送付しています。この案内には、住基カードの交付申請書と返信用封筒が同封されており、この申請書に記入して郵送で申し込むことにより、市役所から返信された通知はがきを持参して一度窓口に出向けば住基カードを受け取ることができるようになっており、住民の負担を少しでも軽減する工夫がなされています。
また、住基カードの交付開始や自動交付機の設置の際など、折にふれ新聞や市の広報誌またはテレビ・ラジオによる広報に努めていることも住基カードの普及に寄与しています。
(7)住基カード利用の定着を図る
このような住基カード等を利用しての自動交付機による証明書交付サービスは、利用者が交付請求書を書く必要がないことや発行までの待ち時間が短縮されるなど、住民サービスの向上に貢献するとともに、窓口の混雑解消や職員の事務負担の軽減に効果をあげています。
一方、住基カード等の利用にあたっては暗証番号が必須となります。利用者が暗証番号を忘れてしまった場合、再設定することが可能です。従来の印鑑登録証では、そのカードさえあれば窓口での発行が可能でしたが、住基カード等の場合には暗証番号が分からなければ発行できないため利用者に混乱が生じることもあるようです。住基カードの普及が進むに伴い、今後さらに暗証番号の重要性を強調することが必要となっています。
また、平成19年度の税制改正で、平成19年と20年のいずれかに個人が所得税の申告を電子申請した場合、税額控除を受けることができる制度が導入されましたが、電子申請を行うにあたり、あらかじめ電子証明書を取得する必要があります。電子証明書の取得には住基カードの取得が前提となるため、さらに住基カードの普及が進むとともに、住基カードの利用機会が広がることでより一層定着化が進むことでしょう。ただ、宮崎市では、本庁及び総合支所3か所において電子証明書を発行していますが、1件あたりの発行時間が25〜30分程度必要となるため、確定申告時期に電子証明書の申請が集中した場合に対応できるのかを懸念しています。
(8)自動交付機の増設など、さらなる住民サービスの向上を目指す
住基カードの取得者が増えるなかで、さらに利用者の利便性を高めていくことが必要となってきます。現在、自動交付機は午前8時30分から午後5時15分まで稼動していますが、平成20年度には、本庁舎に設置してある自動交付機の稼動時間を午後6時まで延長する予定です。また、自動交付機または窓口の端末で発行できる機器について、今後、増設を進めていきます。
さらに、現在は自動交付機で証明書等の交付を受ける場合に、交付を受けたい証明書ごとに暗証番号の入力が必要ですが、1回の操作(暗証番号の入力)で複数の証明書の交付を可能にするなど、付加機能の充実についても検討しています。
住基カードの普及により、このカードを使っていかに利便性の高い住民サービスを提供することができるのか、住民ニーズを捉えたサービスを具体化していくのか検討していきます。
(9)資料
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構築・運用費用
| 項目 |
内訳 |
金額 |
備考 |
構築 費用 |
ハードウェア・ソフトウェア |
90,780,000円 |
他システムの共通機器含む。
(平成13年度〜15年度) |
| システム導入費 |
24,570,000円 |
(平成16年度) |
| 自動交付機増設導入支援費 |
4,830,000円 |
(平成16年度) |
| 自動交付機増設費 |
9,100,000円 |
自動交付機1台(平成19年度) |
運用 費用 |
保守費 |
9,200,000円 |
自動交付機リース料含む。(平成17年度) |
| 11,500,000円 |
自動交付機リース料含む。(平成18年度) |
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構築・導入に要した期間
平成15年5月〜8月
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整備した条例等
住基カードを利用した証明書交付サービスの導入に伴い、以下のとおり条例及び規則を制定し、既存の条例及び規則について、必要な改正等を施しました。
- 宮崎市住民基本台帳カード等の利用に関する条例の制定
- 宮崎市住民基本台帳カード等の利用に関する条例施行規則の制定
- 宮崎市印鑑条例の改正
(印鑑登録証明書の交付に必要な印鑑登録証として、住基カードまたは市民カードを提示するように変更。附則の経過措置に平成21年3月まで印鑑登録証と引き換えに住基カードまたは市民カードの交付を受ける場合には手数料を無料とすることを追加)
- 宮崎市印鑑条例施行規則の改正
(印鑑の亡失の届出または印鑑登録廃止の届出をする際、印鑑登録証として住基カードまたは市民カードを提示するように変更)
- 宮崎市手数料条例の改正
(附則の経過措置に平成21年3月まで印鑑登録証と引き換えに住基カードまたは市民カードの交付を受ける場合には手数料を無料とすることを追加)