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マルチベンダ環境で簡易型自動交付機とLGWAN-ASPを活用
種子島は、九州本土最南端の佐多岬から約43km南の海上に位置し、西之表市、中種子町、南種子町の1市2町で構成されています。標高が最高でも282mと平らなこの島の面積は453.83km2で、県内の有人離島のなかでは奄美大島、屋久島に次いで3番目の広さを誇っています。人口は33,833人(平成19年11月30日現在)です。
種子島1市2町位置図
鉄砲伝来の地として歴史的由来をもち、日本で初めてつくられた火縄銃等を展示している種子島鉄砲博物館には年間を通して多くの観光客が訪れています。また日本の科学技術の粋を集めた種子島宇宙センターは、その海に面した絶景から「世界一美しいロケット基地」ともいわれており、歴史と未来とが交錯する島です。
種子島では、広域事務組合を設立して介護認定やごみ処理施設事業を行っていますが、このほかの広域事務や市町単独では行えないような事務についても3団体が協力・連携してサービスの向上を図る必要があり、将来的に合併することも視野に入れた検討が進められています。
そのようななか、1市2町は種子島地区における電子自治体の構築に向け協議会を設立。ICカード標準システムを導入し、住基カードを利用した証明書の広域自動交付サービスを行っています。
経済・行政の中心的役割をもつ西之表市役所
(1)3団体の“協働”による広域自動交付サービスの実現
- 電子自治体推進協議会を設立し事業スタート
種子島地区における電子自治体の構築に向けて、中種子町から住基カードを利用した証明書の広域自動交付サービス導入の提案がありました。1市2町の電算担当者、住基担当者で協議を進め、調査研究及び情報システムの運営を共同で行うことで合意、平成18年6月に「種子島地区電子自治体推進協議会」が設立されました。協議会長、事業責任者を選任し、関係機関との体制を整え、本事業がスタートしました。
- 省スペース・省ランニングコストの簡易型自動交付機を設置
自動交付機は「簡易型タイプ」を設置しました。従来自動交付機の設置には厳しい基準が課せられていましたが、この交付機は「自動交付機の設置基準の改正通知」(総務省平成17年4月)、「住民基本台帳事務処理要領改正」(総務省平成18年2月)などの規制緩和策に対応したもので、小型化・低価格化を実現しています。それまでの標準型と比べて筐体面積は約4分の1、価格は約40%となっています(同メーカー機種による比較)。またランニングコストの削減も図れるといわれており、全国的に普及が進んでいます。操作方法も銀行のATMと大きな違いはないため、初めて操作する人でも違和感なく使えるやさしいシステムになっています。
 簡易型自動交付機による証明書発行
- マルチベンダ環境とLGWAN-ASPの活用
種子島地区の広域自動交付システムは、マルチベンダによる広域交付を前提として構築され、また住民が操作する自動交付機の通信には総合行政ネットワーク(LGWAN)が利用されています。これにより外部のデータセンターにサーバを設置してASP(Application Service Provider)のサービスを活用するICカード標準システムの共同利用が可能となりました。またITベンダは最終的にマルチベンダ環境とLGWAN利用に実績がある県内の業者を選定しました。
LGWAN-ASPの活用は、ネットワーク構築コストの抑制、セキュアなネットワーク(閉域、暗号化、認証、IDSなど)、運用・管理面での負担軽減などの効果が見込まれ、広域サーバを安心して利用することができます。
システム導入の決定後は関係部署による業務の分担を行いました。電算部門は予算及び事業計画の作成と実証実験の実施、住民部門は条例の制定と住基カードの利用促進、会計部門は釣銭の取扱いについての規則改正などの作業を担当しました。さらに、3団体の電算担当及び住民担当とITベンダによる事務連絡会を毎月開催して協議を重ねました。これらの実施体制や協議体制、実証実験が、広域自動交付システムのスムーズな導入につながったといえます。
- 出前出張による広報活動により住基カード交付率200%増加
広域自動交付サービスの稼動に先駆け、各市町では窓口職員によるパンフレットの配布や広報誌への掲載など積極的に広報活動を行い、住民への周知を図りました。最も効果がみられたのが職員の訪問による広報活動です。西之表市では平成19年4月から週2回、老人クラブや地域の会合等の各種行事に職員が訪問し、パンフレットの配布と口頭での説明を実施しました。住民の皆さんには広域交付、休日・夜間交付による利便性の向上に対する理解が深まり、住基カードの交付率は平成18年度と比較して平成19年度は約200%の増加となりました。高齢の方には身分証明書の役割を果たすこともカード取得の要因となったようですが、これも市の職員が出向いて詳しく説明したことによる効果だといえるでしょう。
(2)広域自動交付サービスの運用がスタート
- 島内どこでも証明書の取得が可能に
さまざまな整備を終え、平成19年7月2日から住基カードを利用した証明書の広域自動交付サービスがスタートしました。1市2町すべての庁舎入口に合計3台の簡易型自動交付機を設置し、住民票の写しと印鑑登録証明書の広域自動交付を可能にしました。稼働時間は3団体ともに午前9時から午後7時(年末年始を除く)に統一されています。
広域による夜間・休日の新たなサービスの提供により、島内どこでも、就業に関係なく証明書が取得できるようになりました。自動交付機の導入は、交付申請の手続きの簡略化や窓口での待ち時間短縮、混雑緩和を実現し、住民の利便性向上につながりました。住基カードの普及も促進され、平成19年11月末時点での住基カードの交付枚数は、全地区合計で累計498枚となっています。種子島地区では3団体がそれぞれ住基カード発行機を所有しており、即日発行できる体制が整っています。
- 費用は3団体で均等に負担し割安に
システム導入の初期費用として約8,000万円を平成18年度予算に計上しました。年間の運用費用は約250万円を見込んでいます。ランニングコストについては3団体で均等に負担することとしています。
1団体では経費の負担が大きくなりますが、共同利用にすることで割安になることは広域で事業を展開するメリットのひとつです。また種子島地区は将来的な合併も視野に入れていますから、合併時でもシステム上の大きな混乱はありません。また、3団体は現在でも定期的に運営に関する打ち合わせを実施しています。なお、自動交付機による証明書交付手数料は設置市町の収入としています。
広域自動交付システムによる証明書交付の流れ
(3)住民サービスの向上のための今後の展開
大きなトラブルもなく広域自動交付サービスを実現し、電子自治体への第一歩を踏み出した種子島地区ですが、さらなる住民サービスの向上と住基カードの普及、独自サービスの利用拡大のため、今後に向けての新たな施策を検討しています。
- 自動交付機の設置台数を増やし、サービスの向上を
種子島地区が導入した簡易型自動交付機は低価格で小型なものなので、省スペースエリアへの設置に適しています。政府による規制緩和施策がすすみ、設置場所が原則自由となりましたから、今後は出張所や郵便局、コンビニなど、住民がよく訪れる場所に設置することを検討しています。設置台数を増やすことは、操作補助職員の費用対効果の向上にもつながります。また、既存の自動交付機を有効に活用するため、申請書自動作成システム、その他システムの導入についても検討を進めていく計画です。
西之表市庁舎入口に設置された簡易型自動交付機
- 住基カードの用途拡大で普及を促進
現在自動交付機で取得できる証明書は住民票の写しと印鑑登録証明書ですが、住基カードの用途を拡大し、本サービスの利用者を増加させることを検討しています。その一つが税証明書関係の自動交付の実現です。このサービス導入により、住基カードの普及が大きく促進されると見込んでいます。そのほかにも、住基カードを活用した図書館の利用など、自動交付機以外での多目的利用を模索しています。
どのようなサービスを導入するにしても、一番の目的は住民の利便性の向上です。種子島地区では情報化計画で実施するアンケートに住基カードに関する項目を盛り込むなど、常に住民の声に耳を傾けています。「住基カードを利用して何かできないか」ではなく、「住民の○○の要望に対して住基カードを利用できないか」というスタイルです。
- 出前出張の継続に加え、新たな広報活動による普及促進を
本事業の導入前は、窓口職員によるパンフレットの交付・説明が主な広報活動でした。システムの導入が決まってからも、住民にいかにしてサービスの内容を知ってもらうかに苦労したといいます。やはり周知期間はある程度必要だったと担当者は振り返りますが、住民が多く集まる地域の会合に出向いて説明を行い、その場で交付申請を受け付ける出前出張は、普段市役所に訪れない住民にも直接会って説明することができ、住基カードの普及に大きく貢献しました。西之表市では今後も継続して説明会を実施し、その他にも市営住宅入居者にパンフレットを交付するなど、訪問による住基カードの普及促進を図っていく計画です。
また、ホームページ上でも住基カードの案内コーナーを設け、サービス内容、カードの申請から取得までの一連の流れ、自動交付機の操作方法などを説明することも検討しています。
- 住民の納得が得られる費用対効果の検証
種子島地区では、システムの導入当初から会計部門とも連携し費用確認を十分に行い、住民サービスを含めたその効果を検証しながら進めてきました。運用費用は3団体均等に分割されるものの、決して安いものではありません。自動交付機を利用した現在の証明書発行手数料は窓口発行と同じ200円ですが、証明書1枚あたりの単価を下げることができなければ費用対効果の説明がつかず、住民の理解を得ることが難しくなるといいます。住基カードの交付と自動交付機の利用を促進し、将来的には自動交付機の手数料収入で黒字化できることを目指しています。検証の結果、自動交付機での証明書発行率を10%にすることを当面の目標としています。
また、自動交付機の設置台数を増やす場合や、住基カードの用途を拡大する場合にも多額の費用がかかります。それに見合った効果が見込めなければ、真に住民サービスが向上したとはいえません。サービスの継続運用のため、事業を始動させるときから長期的な計画と、費用対効果の検証が必要となります。
- 種子島地区から九州地域へのサービス拡大
住基カードを利用した証明書の広域自動交付サービスにより、島内どこででも証明書の取得が可能となりました。1市2町が一体となった協働による推進が、本事業のスムーズな導入につながったといえます。今後は住基カードの独自利用を拡大させる一方で、屋久島や九州本土との連携も視野に入れています。種子島地区の“協働推進”による事業拡大に、今後も注目です。
(4)資料
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構築・運用費用
| 項目 |
内訳 |
金額 |
備考 |
| 導入費用 |
ハードウェア関連経費 |
16,830,000円 |
平成18年度 |
| ソフトウェア関連経費 |
38,768,000円 |
平成18年度 |
| システム導入作業 |
7,875,000円 |
平成18年度 |
| その他 |
16,527,000円 |
平成18年度 |
| 運用費用 |
基本システム保守料 |
950,000円 |
平成18年度
各市町負担
845,000円 |
| 広域交付システム保守料 |
450,000円 |
| IDCセンター利用料 |
1,134,000円 |
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構築・導入に要した期間
平成18年11月〜平成19年2月
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整備した条例等
- 住民基本台帳カードの利用に関する条例(新規)
- 住民基本台帳カードの利用に関する条例施行規制(新規)
- 印鑑条例(改正)
- 会計規則(改正)
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