
別海町は、TSシステムを全面導入し、リソースをサーバへ集中させることでクライアントの簡素化を図ると同時に、データの集中管理やユーザの一括管理、シンクライアント化によるセキュリティ強化などを実現。また、北海道自治体情報システム協議会に参加している30町村のうち4町村で2007年度より運用の始まったサーバのiDC運用では、運用テストを含め、リーダー的役割を担っている。

別海町(べつかいちょう)
| ■位 置: | 北海道東部根室管内の中央に位置し、根室市、標津町、中標津町、浜中町、厚岸町、標茶町と隣接する。東部は野付水道に接し北方領土を望む。 |
|---|---|
| ■面 積: | 1,320.16km2 |
| ■人 口: | 1万6,354人 6,201世帯(2008年4月30日現在) |
| ■沿 革: | 町のほとんどが原野を切り開いた丘陵地帯。産業は酪農業と漁業が中心で、乳用牛と肉牛合わせた牛の飼養頭数12万頭は全国1位。町の内陸部には牧草地が、海岸部には野付風蓮道立自然公園やトドワラなどの幻想的風景がそれぞれ広がる。また、町内のすべての酪農家(約1,000戸)へのパソコン導入や遠隔地医療の実証実験、高速無線LANの導入、さらには北海道自治体情報システム協議会の立ち上げ時の中核を務めるなど、積極的な電子自治体への取り組みでも知られる。 |
別海町が「ターミナルサービス」(TS)システムを全面導入した背景には、北海道の原風景とも言われる町特有の地理的条件があった。別海町が誇る全国9位の自治体面積は、東京23区の約2倍と広大だ。そうしたなか、急務の課題となったのが、町内に散在する、支所・出張所や公民館などの出先機関と本庁舎とをインターネット回線で結ぶシステムの整備だった。
2004年度に始まった整備で、ネックとなったのが回線速度。当初は予算的にも物理的にもISDN回線しか敷設できなかったからだ。そこで着目したのが、Windowsのサーバ系OSの機能のひとつであるTSだった。仮想のデスクトップをTS上で提供するシステムで、ISDNなどの低速回線に対応できるのが特長だ。
TSシステムの導入によって、端末側の性能への依存度も低くなり、シンクライアント等の軽いシステムでも動くこともわかった。町は、出先機関の既存のパソコンをシンクライアント化するとともに、シンクライアント端末を新たに30台から40台ほど購入し出先機関に設置。次のステップとして、2005年度には、このシステムを全庁的に拡げた場合のメリットについての検討を行っている。
TSシステムの導入検討を担当した 別海町 総務部 総合政策課 の小椋哲也氏が、当時を振り返ってこう語る。
「TSシステムを全庁導入した場合のメリットは大きく2つありました。職員の人件費抑制と運用管理コストの削減です。また、アプリケーションやデータの集中管理によるセキュリティと利便性の向上も挙げられます」。
人件費抑制では、TSシステムの全庁導入後に情報管理担当の職員数が従来の5名から2人名になった。運用管理に要する人員も、パソコン時代には年間1.2人工だったのが、シンクライアント端末が出先機関に完備された2007年度以後は、0.4人工にまで下がっている。
低コストを実現したのは、アプリケーションの集中管理やシンクライアント端末への交換によるところが大きい。たしかに、職員一人ひとりの使用状況で必要な性能は異なるはずなのだが、不要な性能まで兼ね備えたパソコンは無駄以外の何ものでもない(図1)。

アプリケーションの集中管理では、TSシステムの全庁導入以前には、400台ほどあるパソコンすべてにOSやアプリケーションソフトをインストールしなければならなかったのが、導入後は本庁内にあるTS側のみの作業で済むようになった。一日の車の走行距離が400kmにおよぶこともあるという出先機関へのメンテナンス作業も激減した。
シンクライアント端末への交換では、担当職員はハード側のメンテナンスからほぼ解放されている。要修理の端末をメーカーに送り、使用していた職員には新たな端末を与えるだけ。突然故障した場合でも、職員は別の職員の端末を利用すればいい。その間、業務が滞るのは、職員が新たな端末にIDとパスワードを打ち込んで作業環境を再現する間のほんの数秒だけだ。