独自事例

統合型パッケージシステムによるリプレイスで
スピード導入と住民サービス向上を実現[2]埼玉県北本市

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新システム導入の効果

 新システムの目標のひとつだった住民サービスの向上については、先のとおり窓口業務連携システムや収納チャネル拡大により、目に見える効果が上がっている。

 2006年4月に開始したコンビニ収納代行は納税者からも好評で、利用件数は累計で3万件を超えた(2007年1月現在)。支払い上限金額30万円という制約があるものの、市税全体でみると利用率約15%、軽自動車税は約30%の高率でコンビニ収納が利用されているという。特に銀行の窓口営業時間外の利用が6割もあり、市民の利便性は高まったといえる。2006年10月に開始したペイジーを利用した電子納税も、郵便局の一括伝送も含めると3か月ですでに300件近くの利用があり、今後利用率が高まることが期待されている。

コンビニ収納およびペイジー対応の市税納付書 さらに、共通データベースを活用することにより、福祉総合システムとのリアルタイム連携が実現したほか、各課のデータ抽出などの庁内電算庶務の事務効率が格段に向上した。

 セキュリティの強化についても、ハウジングサービスを利用してセキュアなデータセンター(IDC)にサーバーを設置することで、より高いセキュリティをより安価な経費で実現できた。ユーザーごとの詳細な権限管理やカードによる個人認証、詳細なアクセスログ管理などの機能は、高度なセキュリティ対策につながっている。

 全体的にみても、運用常駐者の廃止や業務プロセスの変更により管理・運用経費の削減効果が上がる一方、申告受付システムや共通照会機能など使い勝手のよい機能の利用で残業時間が減ったという部署もあるという。

 情報関連コストは、新システムの導入により、今後5年間で従前のシステムに比べ約30%の節減ができると見込まれている。また、ITを活用して事務効率を向上させることで、市民と接する業務に職員をより手厚く配置し、住民サービスの向上を図る計画だという。

ユーザーとベンダーをつなぐ“通訳”

 「計画にいくら時間をかけても劇的な向上は見込めない。これからは時代と技術の進歩に合わせて、ハードやソフトを常に最適なものに入れ替えていく必要があるでしょう。その際、ユーザー(市民や職員)とベンダー(SE)の間に立って“通訳”をこなすことが、情報管理課の重要な役割になると思います」と、新井氏は語る。

 今後も、住民サービスのさらなる向上、セキュリティのさらなる強化、システムの効率化の追求を進め、システムを有効活用しながらも、さらに最適なシステムを模索していくことが課題だという。

 総合窓口によるワンストップサービスについても、将来、新しい市庁舎の建設が具体的になった際には実現していく見込みという。

 北本市の事例、特にペイジーを利用した市税納付は先進的事例として注目されているが、「“先進”といっても、他が後に続かないと単なる“異端”になってしまう。ペイジーの利便性が高いことは間違いないので、ぜひ普及してほしいですね」と新井氏は苦笑する。

 情報政策担当には、ユーザーとベンダーの通訳だけでなく、最新ICT(情報通信技術)の“伝道師”としての役割があるのかもしれない。少なくとも北本市の住民には、この伝道師の声が住民サービスという形で届き、好意的に受けとめられていることは間違いない。

識者コメント

戸谷 寿夫(とたに・としお)/関西情報化維新協議会 副代表理事

 北本市がそうであったように、住民情報システムを汎用機による自庁処理で行っているところが全国的に見ても大多数であり、新しいサービスの対応・管理/運用等で同じ悩みを抱えています。そんな中でも、北本市におけるパッケージの導入は、他市のモデルとなる先駆的な改革であったと思います。

 特に、パッケージを導入するにあたり、1600以上の機能要件を盛り込んだ「提案募集仕様書」を作成されたということで、市全体の本プロジェクトに対する熱い思いや期待を十分にうかがえることができます。この点は他の団体も見習うべきところでしょう。最初に安易な仕様書でパッケージを導入すると、あとでいろいろな問題が噴出してきます。最初にきちんと機能要件をとりまとめることが必須であると考えます。

 また、連携システムの構築によって、住民サービスと事務効率が向上し、職員の負荷も下がり、その分市民と接する業務を手厚くし、さらに住民サービスが向上するという好循環が生まれています。

 北本市が構築した窓口連携システムは、住民の立場に立ったシステムで、他の自治体でも「役所もサービス業だ」という自覚を持ち、顧客(=住民)の視点で既成の仕事を今一度見直し、北本市のようなシステムを構築してくれることを熱望します。

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