
佐賀市は、平成17年10月に佐賀市、諸富町、大和町、富士町、三瀬村と、平成19年10月には川副町、東与賀町、久保田町と合併し、「新生佐賀市」として、新たな一歩を踏み出しました。
新しい佐賀市は、脊振山系に連なる山林や清流、佐賀平野に広がるクリークや田園風景など素晴らしい自然環境に恵まれ、山間部にある温泉やスキー場、有明海の美しい干潟の風景など、多様な魅力を備えるまちとなりました。
山麓部の古代肥前の国の行政府跡「肥前国庁」をはじめ、市内中心部には、江戸時代、唯一世界への窓口として開かれていた長崎と江戸を結ぶ長崎街道が通り、佐賀城、大隈重信の生誕地等、多くの歴史遺産を有します。幕末維新期には、海外からの文物、文化、技術の情報を生かし、新政府確立の原動力となり、日本の近代化をリードする多くの人材を輩出しました。
現在は、政治、経済、文化、教育などのあらゆる面において県の中心的役割を果たすとともに、『人と自然が織りなす「やさしさと活力にあふれるまち さが」』を市の将来像として掲げ、市民や地域がそれぞれの個性と魅力を生かしながら、市民参加による新しいまちづくりを推進しています。
市役所本庁舎の総合窓口
佐賀市では、平成10年から自動交付機を2台導入し、磁気カード方式の市民カード(印鑑登録証機能有・無の2種類)を利用して住民票の写し、住民票記載事項証明書および印鑑登録証明書の自動交付を開始しました。平成13年10月には、総合窓口業務を開始し、届出の受付を市役所の総合窓口1か所で行うワンストップサービスを導入、平成16年6月には住民基本台帳カードの多目的利用を開始するなど、市民の利便性向上に力を入れてきました。
その間、平成15年の段階で自動交付機の更新時期を迎えましたが、平成17年に予定している基幹システム更新に合わせて、自動交付機の更新も決定しました。
新しい自動交付機の導入を検討するための「利活用検討ワーキング会議」を立ち上げたのは、平成16年のことでした。会議では、戸籍・住民票等を扱う市民生活課を中心とし、税関係証明を管理する市民税課・資産税課・納税課と、従来交付してきた証明書の見直しと税関係証明書の交付、自動交付機本体の仕様などの検討を行いました。
これらサービス内容の検討に加え、新基幹システムと自動交付機の連携や自動交付機の仕様を管理する情報政策課が参加し、具体的なシステムの検討をいたしました。
検討の中で、従来、自動交付機で交付していた住民票記載事項証明書は、住民票の写しと混同するお客様が多かったこと、窓口で公印の押印が必要な場合があり自動交付機では対応が難しいことが判明し、新しい自動交付機導入では、そのサービスを中止しました。また、原則として本人申請が必要な税関係証明書は、住基カードを利用した場合にのみ、所得課税証明書と納税証明書を交付できるようにしました。
そのほか、セキュリティ対策や利用されるお客様の利便性向上につながる仕様を目指して検討が続きました。
さまざまな検討を踏まえてできあがった新しい自動交付機の仕様を公開し、平成16年9月にプロポーザル方式により事業者を公募しました。結果、審査委員会が選定したのは、日本の企業ですが、システムや交付機本体は外国企業のものでした。この選定の大きなポイントはコストでした。
採用したシステムは、国内のパッケージ提案システムより大幅にコストが削減でき、市販のパソコン機器をうまく組み合わせてシステムをつくりあげるもので、開発したアプリケーションを公開して地元で活用可能となることも大きなメリットと考えたのです。
このシステムは、住民票や印鑑証明といったわが国独自の仕組みを完全に満たしてはいなかったため、ゼロからのシステム構築が求められました。事業者は10月に決定し、それから運用開始まで実質6ヵ月間、市民生活課と情報政策課の職員と技術者が協力して、全力をあげた開発作業を続けました。苦労した一番の点は、打ち合わせに常時通訳が必要なことでしたが、何とか意図するところを伝えることができました。
並行して従来の基幹システム更新による新基幹システムの開発が行われており、基幹システムの変更のたびに、開発作業の変更を余儀なくされることが多々ありましたが、日夜に及ぶ検討作業により、新しい自動交付機システムと基幹システムが連携して、本人確認情報として住基ネットを利用するシステムが完成し、平成17年3月22日、佐賀市独自ともいえる自動交付機が稼動を開始しました。
新しい自動交付機では、従来機の課題であったセキュリティ対策として、偏向フィルター、後方確認ミラーおよびテンキーを採用し、証明書類をとり忘れても、一定時間たつと、紙が機械の中に戻るなどの工夫を凝らしました。
そのほか、従来機に比べ証明書交付時間が約20秒短縮されたこと、大画面の採用により見やすく操作しやすくなったこと、音声案内とヘルプ画面により初めての方でも簡単に証明書などを交付できること、テンキーの近くにインターホンを置き、直接応対ができること、車椅子の方でも利用できるよう画面の位置を低くしたことなど、使いやすさの向上を図りました。その中でも、音声案内は市民から高く評価されました。
また、スクリーンセーバーとして、バルーンフェスティバルやひな祭りなど、四季折々の佐賀の風景を取り入れるなど、職員の意見を全面的に取り入れた画期的なアイデアあふれる交付機となりました。
佐賀市独自の仕様によりシステム設計された自動交付機(市役所本庁舎)
新システムの自動交付機は、市庁舎に3台および商業施設エスプラッツの中にある佐賀市交流センターに1台、計4台設置しました。
平成17年6月には、住民票の写し、印鑑登録証明書に加え、所得課税証明書および納税証明書の交付も開始しました。例年6月には、市営住宅や県営住宅の入居者(約5,500世帯)は、手続き上所得課税証明書が必要となり、窓口が大変混雑します。この対応策として、自治会などを通じて入居者全員に対し、自動交付機で所得証明書が取れる住基カードを案内するチラシを配布しました。自動交付機では、「市営住宅」のボタンを押すと、前年分の世帯全員の所得の証明が出てくるプログラムを組み、市民の利便性を高めました。
4台の自動交付機の稼動時間は、市役所の3台のうち、玄関に置かれた1台が平日午前8時30分から午後9時まで、土・日・祝日は午後5時まで、商業施設「エスプラッツ」2階の市民サービスセンターでは平日午前10時から午後7時まで、祝日は午後5時までと、場所、時間ともに利便性は向上しています。
佐賀市では、今回の自動交付機の開発に伴い、佐賀市と事業者が共同開発したソフトウェアについては、佐賀市にも著作権があると認識し、平成18年12月に佐賀市と事業者との間で、「自動交付機に関する著作物の所有および利用に関する契約」を締結しました。
契約内容は、今回開発した自動交付機1台販売につき、端末ソフトウェア価格100万円のうち、平成22年3月までは5%、4月以降は4%の知的財産権収入として、代理店から市に入れるというものです。
このような契約は他の自治体でも類を見ないもので、地元新聞やテレビにも取り上げられ、経済産業省からの問い合わせも受けました。
ちなみに平成19年度は、3台販売で15万円の収入がありましたが、現在も、西日本を中心に、数件の引き合いがあるようです。職員が市民へのサービス向上を目指して開発したソフトウェアが他の自治体でも利用され、低価格で高品質な市民サービスの提供が実現したことは、大変喜ばしいことだと考えられます。
現在、自動交付機を利用した証明書のうち、住民票の写しと印鑑登録証明書の交付割合は年々増加しており、印鑑証明書に至っては、平成19年度、交付の40%以上で自動交付機を利用されています。
総数で見ると、17万3,717件の申請に対し、自動交付機で4万697枚が発行されています。この数字を別の観点から見ると、4万枚以上の申請書用紙が節約されているということになります。印刷経費の節約に止まらず、地球環境への配慮という面でも貢献できるということがわかりました。
新しい自動交付機では、住基カードに加え従来の市民カードを利用した証明書の自動交付も可能です。カードは、住基カードの場合はICチップを、従来の市民カードの場合は磁気ストライプ部を読み込むことで識別しています。また、交付する証明書を利用するカードにより区分しています。
| 印鑑証明書 | 住民票 | 所得課税説明書(H17より) | 納税説明書(H17より) | 全証明交付率 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| H16年度 | 28.7 | 9.4 | - | - | 18.0 | 旧自動交付機(2台) |
| H17年度 | 35.6 | 14.9 | 0.4 | 0.5 | 21.3 | 新自動交付機(4台) |
| H18年度 | 37.4 | 16.3 | 0.7 | 0.4 | 21.7 | |
| H19年度 | 40.7 | 16.7 | 1.0 | 0.6 | 23.4 |
表1・住民票等自動交付機の年度別の交付率変化表
佐賀市は新しい自動交付機設置以降、2度の合併を経験しています。そのため、住基カードの取得について、旧佐賀市以外のお客様に対する広報活動も積極的に行いました。
現在、7か所ある支所に自動交付機は設置されていません。そこで、支所を利用するお客様には、多目的サービスの中で申請書自動作成サービスを呼びかけました。自動交付機が設置されていない支所では、住基カードと暗証番号だけで申請書が作成できるサービスは、大変便利です。
そのため佐賀市では、旧町村の住民が新規に印鑑証明や住民票を申請する際、新佐賀市のカードを発行するとともに、申請者に住基カードの利用を勧めています。
住基カードの発行枚数は、自動交付機導入や税証明発行の開始等、新しいサービスが開始されるごとに積極的に広報活動を実施したこともあり、徐々に増加しています(有効カード枚数8,884枚発行、対人口比普及率3.74%)。
現在の自動交付機は、5年間のリース契約です。この切り替え時期を節目として、各支所や公共施設などへの自動交付機の設置、住基カードの図書館やその他施設への多目的利用展開などが検討課題となっていますが、これらのサービスを費用対効果を踏まえながら推進していく予定です。
(本稿内容は、平成21年2月末現在のものです。)
佐賀市 市民生活部 市民生活課
〒840-8501 佐賀市栄町1-1
Tel: 0952-40-7081
| 項目 | 内訳 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 構築費用 | システム構築費 | 29,138,000円 | |
| 自動交付機4台 | 20,252,000円 | ||
| 運用費用 | 保守費用(年間) | 4,320,000円 |
平成16年10月~平成17年3月