
栃木県最南部に位置し、茨城県結城市に接する小山市は、東北新幹線・JR宇都宮線・両毛線・水戸線が通じ、国道4号・新国道4号・国道50号が走る交通の要衝として発展してきました。人口は、平成17年12月に足利市を抜き、宇都宮市に次いで県下第2の都市に成長しています。年間商品販売額や製造品出荷額も県内第2位を誇っています。
鎌倉時代には藤原秀郷の流れを汲む小山氏の居城、祇園城の城下町として栄えるなど、古い歴史のある街として知られ、徳川家康が会津の上杉景勝討伐をやめ関ヶ原合戦へ向かう評定をした「小山評定」でも知られるよう、歴史・文化的資源や観光素材にも恵まれた都市です。江戸時代には日光街道の宿場町や、市内の中央部を流れる思川の舟運によって繁栄しました。
こうした古い歴史を有するだけに、早くからさまざまな特産品が育まれてきました。小麦・大豆・いちご・かんぴょう・おやま和牛等の農畜産物、結城紬、間々田ひも、下野人形等の伝統工芸品等が有名で、「小山ブランド創生協議会」を組織し、「おやまブランド」発信プロジェクトも進行中です。全国一のハトムギの産地としても知られています。
IT化への取組も周辺市町村に先駆けるように積極的で、市役所業務への電算システム導入は県内で最も早く、ホストコンピュータを設置したのは昭和54年でした。平成15年8月には住民基本台帳カードを導入し、平成19年1月から、ICカード標準システムによる住民票の写しと印鑑登録証明書の自動交付サービスを開始しました。現在、住基カードを用いた証明書自動交付などの多目的サービスを導入しているのは、栃木県内では小山市のみとなっています。
おやま市民カードの券面
平成19年1月に自動交付サービスを導入するに当たって、小山市では住基カードに加え、市独自の「おやま市民カード」の発行を開始し、双方を使えるシステムとしてスタートさせました。住基カードでは、住民票の写しと印鑑登録証明書の自動発行をサービスとして受けることができます。「おやま市民カード」では、自動交付機、窓口双方で住民票の写しと印鑑登録証明書を受けることができます。このように、住基カードと「おやま市民カード」の2本立てとなっているのが大きな特徴です。
導入に当たっては、市民課、IT通信課、税関連など関係各課より証明書自動交付機関係委員会を組織し、他自治体の導入例の研究などを行うとともに、住基カード単体にするか住基カードと「おやま市民カード」の2本立てで発進するかが大きな争点となりました。結論としては、選択肢を増やすことにより、よりよい市民サービスを提供できるという視点から2本立てを選択。ICカード、磁気カード双方に対応できる自動交付機のシステム仕様としました。
本庁舎の市民課窓口の一角に設置された自動交付機
自動交付機は、現在、本庁舎1階ロビー、桑出張所、間々田交流センター(平成20年3月23日に市立博物館から移転)の3か所で稼動中です。市立博物館にあった自動交付機は利用者が極端に少なかったのですが、新しく建てられた間々田交流センター内の間々田出張所に移転することで、より多くの市民に認知されることが期待されています。自動交付機によるサービスは、祝日・振替休日・年末年始を除き、平日は8時30分から19時、土日は17時までとなっています。
カードの発行手数料は次のとおりです。「おやま市民カード」発行は印鑑登録手数料として200円、住基カードの発行手数料は通常通り500円。「おやま市民カード」の普及率は現在、人口比率約20%となっています。
もともと小山市には、市民であることを証明する公的な身分証明書である、「小山市民証」がありましたが、平成21年3月31日で新規の発行を中止します。住基カードは、この市民証に替わる新たな身分証明書としての役割も担うことになります。
また、平成20年7月1日から、65歳以上の市民に対する住基カードの交付手数料を無料としました。自動車免許証を持っていない高齢者にとって、身分証明書としての住基カードの需要は、高齢化がいっそう進展する今後、ますます増えていくと考えられます。
このように「小山市民証」の発行中止や65歳以上の方への交付手数料無料化によって、住基カードを市民の新たな身分証明書と位置づけ、発行の増加につなげていきたいと考えていきます。
平成15~18年度の住基カード発行枚数は、各年200~400枚と少しずつ増えてはいきましたが、合計で1,027枚にとどまっていました。ところが、証明書等の自動交付サービスを開始した平成19年度は、799枚と一気の増加がみられました。平成20年度もほぼ同水準で推移し、平成15年からの累計発行枚数は、2,360枚(平成21年1月末現在)となりました。
このように自動交付サービスの開始、65歳以上のカード作成手数料の無料化は、発行枚数増のひとつの契機となりましたが、平成19年度に始まったe-Tax利用による効果も小さくありません。電子証明書の利用が平成19年度に一気に増大し、500件を上回っていることからも、それは伺えます。電子証明書を取得するための住基カードの利便性は、今後ますます高まっていくのではないかと考えられます。
| 平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | 平成20年度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 213 | 206 | 228 | 380 | 799 | 534(1月末現在) |
表1:住基カード発行枚数の推移
桑出張所に設置された自動交付機。独立して建物の外に置かれている
住基カード導入から6年、証明書自動交付サービスが始まってから約1年が経過したとはいえ、住基カードがまだ市民に充分に周知されているわけではありません。身分証明証替わりとして住基カードの利便性を認知していただけるよう、市民に対して認知度アップのためのPR活動をさらに進める必要があるのは言うまでもないでしょう。また、住民票の写しや印鑑登録証明書の発行以外の多目的利用のサービス導入がないと飛躍的な増加は望めません。
しかし、住基カード発行枚数の増加が先か、サービス拡充が先かというのは、簡単には解決できない課題です。ICカード標準システムによる図書館カードや公共施設案内・予約システムとの一体化についても、コスト面などからまだ具体的な検討に至っていないのが現状です。
こうした状況ではありますが、小山市では住基カードの利用促進については長期的なスパンで検討していくことが必要だと認識しています。具体的には、現在3か所の証明書発行利用端末をもっと多くの場所に設置し認知度を高め、また窓口発行の手数料よりも自動交付機の手数料を低く設定することで、住基カード利用のメリットを明確にしていくなどの方針が検討されています。
さらに、住基カードと生体認証システムを組み合わせた子どもの登下校通知システム、医療機関やコミュニティバスでの利用など、多目的利用の拡充の可能性を探っていくことになりそうです。
日本経済新聞社が平成20年9月に全国806自治体を対象に実施した行政サービス調査では、小山市は全国23位、北関東では2位に評価されています。小山市の場合、住民サービスに徹した結果が住基カードと「おやま市民カード」の2本立てという選択でした。より市民の視点に立ったサービスづくりという発想から、今後も継続して住基カードの新たな利用法が検討されることになるでしょう。
(本稿内容は、平成21年2月末現在のものです。)
小山市 市民生活部 市民課
〒323-8686 栃木県小山市中央町1-1-1
Tel: 0285-22-9402
小山市では、自動交付機システムをリース契約により導入しました。
| 金額 | 備考 |
|---|---|
| 4,530,645円 | 平成18年度 |
| 18,122.580円 | 平成19年度 |
| 18,122,580円 | 平成20年度 |
| 18,122.580円 | 平成21年度 |
| 18,122,580円 | 平成22年度 |
| 13,591,935円 | 平成23年度 |
平成18年4月~平成18年12月